メソードの始まり
大人になって隠されてしまった感情や創造力を引き出すにはどうしたらいいのか。
演劇業界で、この問題を解決したのがスタニスラフスキーです。世界でもトップクラスの劇団「モスクワ芸術座」の演出家でチェーホフの演出家であったスタニスフラスキー。
彼は、完全に心身がリラックスした状態で様々な創造を行うと普段よりも何十倍も効果が高いことを発見しました。
さらに完全にリラックスした状態の作り方、秘められた感情・潜在能力の開発方法まで研究しています。
さらにこの理論を俳優育成法として確立したのが「アクターズスタジオ」です。俳優訓練に興味がある方は一度は名前を聞いたことがあるかもしれません。スタニスラフスキーの方法論をさらに俳優訓練法「メソード演技」として体系化して教えているスタジオです。マリリンモンロー、アンジェリーナ・ジョリー、ジェームズ・ディーンなど、数々の有名俳優を輩出しました。
カウンセリングへの応用
押し込められた感情を解放するメソードの効用が、他業界に注目されるのに長くはかかりませんでした。
まずはカウンセリングなど精神を扱う領域で、自己分析などに応用されていきました。自分をさらけ出すことへの不安や緊張がとれることで、その人固有の魅力を取り戻し、輝くことができる。
一部ではその効用を使って、過去に対する感情の浄化(トラウマ治療)などにも応用されているようです。
しかし、メソードのすごいところは、内面から来るインスピレーションに従うことで、俳優に普段の自分では発揮できない才能を発揮させることです。また、羞恥心を排除して、内面にあるものを表現できるようになることです。まさに潜在能力が前面に出てくるのです。
これをほかの分野の才能開発でも応用できないのか?と考えていたところ出会ったのが、エセックス大学への留学でした。
才能開発への応用
エセックス大学の授業は画期的なものでした。メソードを使って、リラックス・感情の解放をやったあと、全く文章を書いたことのないクラスメイト全員に、物語を書かせます。全く未経験にも関わらず、全員が何かしらを時間内に書き上げた様子には目を見張るしかありませんでした。
そのほかにも、スピーチ、ダンス、起業のアイデアなど、日々違う課題が出されました。
まさに「他分野への才能開発への応用」がそこで行われていたわけです。
残念ながら日本ではまだ、このような授業を行っているところは、ありません。俳優向けの演技スクールか、カウンセリングでの部分的な使用にとどまっているようです。
ないなら作ろう、と考えたのが、当社のセミナーとこのサイトの趣旨でした。
メソードについて
メソードでなぜ才能が開発できるのか?
メソードの歴史とともに、もう少し詳しくその内容を見て行きましょう。
さまざまな自己啓発で効果を感じられなかった方へ
まず、メソードは自己啓発ではありません。モスクワ芸術座にはじまり、アメリカ、イギリス、そして日本でも認められている「訓練の方法」です。
ですから、むやみに精神論を押し付けることはありません。具体的にどうすればよいか、エクササイズ方法をお伝えして行きます。
自己啓発本は、全てがそうだとは言い切れませんが、要約するとだいたい、内容はこうです。
・あなたが望んでいることが実現しないのは、あなたがそれを十分に強く望んでいないからだ▶︎十分に望んでいないあなたが悪い
・あなたが望んでいることが実現しないのは、あなたがそれが実現すると信じていないから▶︎信じられないあなたが悪い
・あなたが望んでいることが実現しないのは、あなたが実現に向けて行動しないから▶︎行動しないあなたが悪い
・よいことを行っていればよいことが返ってくる▶︎よいことを十分に行っていないあなたが悪い
従って、望んだことは何でも実現する、というのです。
こういう「すべて自己責任論」にはずいぶん無理があるとおもいませんか?
こんな論理をたとえば震災で家族を失った人が読んだらどう思うか、想像するだけで苦しくなります。
誰もが、自分や自分の親しい人は元気で長生きをしてほしいと願っているはずです。それなのに
震災で亡くなった人と、生存できた人の差は、「望み方が足りなかった」とか「信じ方が足りなかった」せいでしょうか。
大切な人を失った人と失わなかった人の差は、「行動しなかった」とか「良い行いが足りなかった」せいでしょうか。
そんなはずはありません。
この宇宙に対して人間ごときがなんでも実現できる、万能、のような言い方は、とんでもない驕りではないでしょうか。
人生は確かに「人知を超えた何か」にも支配されています。
だからこそ、私たちの内側にも「人知を超えた何か」・・・つまり、才能やインスピレーション、潜在意識、第六感や直感または火事場のくそ力などと呼ばれるもの・・・が備わっていると考えるのが自然です。その力は人生を悪い方向に変えることもあればいい方向に変えることもあります。この謎に満ちた世界では、普通の人が突然才能を開花させたとしても不思議ではないのです。
その「人知を超えた何か」・・・顕在意識ではアクセスできない領域にあるもの・・・を本人が意識的に引き出して良い方向に使えるようにする、それに成功したのがメソードだと考えていますし、そのメソードの活用の場を広げようと作ったのがこの講座です。
メソードで行うのは主に次の3つのトレーニングです。
(1)リラックス。
日頃受けているストレスなどによる筋肉と精神の緊張を取り除きます。リラックスした状態で創造的な活動を行うと、普段の何十倍も効果が高くなります。
(2)感情の解放
抑圧されている感じたことを素直に感じられるようにします。この訓練にはさらに羞恥心や自意識を取り除き、素直に表現できるようにする効果もあります。「〜べき」「〜ねばならない」を取り除き、心のブレーキを外します。
(3)集中
訓練で湧いたイメージをさらに細かく具体的にし、形にして行きます。
絵画、ピアノ、音楽、小説などの表現活動はもちろん、起業や商品開発のアイデア、プレゼンに営業、自己分析と、あらゆるシーンで応用されてきました。その歩みと歴史を簡単に紹介します。